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その300 1月1日〜1月15日 |
18.初暦飾りて去るや母の家 |
7.明暗の地球がめくる初暦 |
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その301 1月16日〜1月31日 |
19.一日をなのはな号の避寒かな |
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その302 2月1日〜2月15日 |
23.春寒や身に一筋の朝の白湯 |
10.春寒にまだかと問えばまぁだだよ |
3.春寒や日の出間際の凝固点 |
その303 |
19.蕗味噌に秋田訛りを添えにけり |
21.蕗味噌や女二人の昼の酒 |
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その304 |
2.ご隠居と欠伸も似たり子猫かな |
3.猫の子や三遊亭に名を貰い |
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その305 |
8.チェホフ語る友去りてまた春祭り |
19.春祭り緋に紫に光る足袋 |
26.障子閉じ子らは秘密の春祭り |
その306 |
23.せせらぎをわずかに変えて田螺かな |
11.放哉の酒の寄り添う田螺かな |
9.大原の千年の田の田螺かな |
その307 |
12.清明や月に恥じらふ野天風呂 |
10.清明や風引き連れてロマンスカー |
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その308 |
22.石楠花の山に忘れることひとつ |
11.石楠花や父は黙って刃物研ぐ |
3.石楠花に別れを告げる仮住まい |
その309 |
5.白桜忌会わぬと決めたひとに会う |
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その310 |
3.天道虫言い争いに分け入れり |
20.天道虫子供返りの母の指 |
3.丸い背に宇宙の彼方天道虫 |
その311 |
6.木漏れ日と半分の死藤寝椅子 |
19.頁繰る音籐椅子のきしむ音 |
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その312 |
1.お経読む僧に首ふる扇風機 |
7.扇風機遅れて届く丸い風 |
5.扇風機飛べぬ翼の一途かな |
その313 |
23.自販機の吠えるがごとき大暑かな |
16.天網の孔繕ひて大暑かな |
20.左官屋の影光りたる大暑かな |
その314 |
18.引き波や転がる石の声涼し. |
18.竹林の墨絵を抜ける風涼し |
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その315 |
21.弟の鼻緒直すや遠花火 |
13.手花火が果ててぽつんと闇残し |
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その316 |
19.ややあつて仏壇の梨の語りだす |
20.涙腺の固き男や梨の肌 |
19..生きてるか?友の絵手紙梨ひとつ |
その317 |
24.星月夜死にゆく人の爪を切る |
5.星月夜ほらまた猫がやって来た |
14.今宵そのひとつを奪う星月夜 |
その318 |
22.夜食終え風の音など聞いている |
27.妻の字が毒に見えたる夜食かな |
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その319 |
6.秋の雲洗濯物バサミの色違い |
11.秋雲や駅に迎える捨てた母 |
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その320 |
8.頑迷も時を刻んで熟柿かな |
10.老老の山集落の熟柿かな |
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その321 |
25.歩の合わぬ人と別れて紅葉狩り |
23.古女房着かず離れず紅葉狩 |
4.仁王立ち燃ゆる大空紅葉狩 |
その322 |
4.綿虫と一如となれり永平寺 |
20.綿虫や遍路をたどる笠の列 |
22.綿虫や石油列車の今入る |
その323 |
14.極月や閉める本屋で文庫買う |
5.極月や死の翳を負い猫を抱く |